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肱川上流の河辺川に山鳥坂ダムの建設が計画され、11年になります。山鳥坂ダムは
中予分水の中止により、ダム建設の目的が多目的から治水へと大きく変化しましたが、
建設に向けた動きは日々進んでいます。8月22日には肱川水系山鳥坂ダム建設事業影
響評価方法書が示され、10月6日まで方法書に対する意見の募集が行われていました。
愛媛県支部としてもこの方法書を検討し、先日意見を出したところです。これを機会に、
山鳥坂ダム建設に対する愛媛県支部の考え方をまとめました。
愛媛県支部は、河辺川流域の生態系を保全する立場から山鳥坂ダム建設に反対しま
す。報道ではクマタカの問題のみが大きく取り上げられていますが、河辺川流域はクマタ
カ、オオタカ、サシバ、ハチクマの4種の猛禽類が同所的に繁殖できる環境です。これら
の猛禽類は森林とその周辺を主な生息環境とし、それぞれ異なる餌資源を利用していま
す。4種の存在は餌となる多様な生物がこの流域に生息していることを示唆しています。
また、流域では繁殖期にミゾゴイとヤイロチョウが確認されています。ミゾゴイは日本での
み繁殖し、近年個体数の減少が著しく、東アジアにおいて最も絶滅が心配される鳥類の
一つです。ヤイロチョウも国内での繁殖地は限られた地域しか知られていません。両種に
とって河辺川流域は、東アジアにおける保全すべき重要な地域と考えます。鳥類全体を
見ても事前調査では126種が記録され、そのうち愛媛県レッドデータブックに記載されてい
る種は35種にものぼります。
建設が予定されている河辺川は比較的小規模な河川ですが、流域は複雑な地形にな
っています。この地形の複雑さにさまざまな土地利用形態の要素が加わり、多様な景観
が生み出されています。こうした多様な景観が猛禽類をはじめとする多様な生物を維持し
ていると考えられます。ダム建設は流域の景観を変えます。少なくとも河辺川の流路は遮
断され、両側の森林は水没します。そこはミゾゴイやヤイロチョウの生息地です。
ダム建設に関する問題は、流域のそれを求む人と反対する人の問題かもしれません。
しかし、私たち野鳥の会は、野鳥の保護を推進する団体です。愛媛における重要な野鳥
の生息地に影響を与える恐れのある事業に関しては、野鳥保護の立場から意思を表明
し意見を述べなければなりません。先日提出した方法書に対する意見では、建設予定地
が多様な鳥類の生息地であること、ミゾゴイやヤイロチョウ、クマタカをはじめとする猛禽
類など保護すべき多くの種が生息する地域であること、それを可能にしている環境条件を
明らかにすることがダム建設の影響を評価するうえで欠かせないことを述べ、計画されて
いる調査方法とその評価に対する考え方が不十分であることを指摘しました。今後も環
境影響調査の動向に注意し、鳥類の適切な保護がなされるよう最善を尽くしていきたい
と考えています。
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