このたび本会から「重信川河口鳥類調査報告書」を出版いたしました。この報告書は、1996年6月から2021年5月までの25年間、会員の皆様のご協力で毎月1回以上372回実施した重信川河口鳥類調査の結果をまとめたものです。25年間に確認した174種すべてについて、各年度・各月のカウント数を示し、各種について解説をしています。また、各年度の調査状況やカウントデータも掲載しています。本文は224ページあり、重信川河口に生息する鳥類について理解が深まるものと思います。希望する会員の皆様に贈呈いたしますので、探鳥会・観察会、重信川河口鳥類調査等の際にお申し出ください。なお、「鳥の研究発表会」でもお渡しします。いずれにも参加が難しい方は事務局にご相談ください。概要版はこちら。
―「鳥の研究発表会」について―
下記の日程で「鳥の研究発表会」を行います。参加ご希望の方は、事務局までご連絡ください。
主催:日本野鳥の会愛媛
日時:2023年11月23日(木・祝) 13:30~16:30(開場13:00)
会場:松前総合文化センター(松前町役場の隣)3F視聴覚学習室
申込:下記へ氏名とともに「鳥の研究発表会」参加希望とご連絡ください。
松山市西長戸町353-5 日本野鳥の会愛媛
TEL/FAX: 089-923-3081
E-mail: mail@ehime-wbsj.com
締切:2023年11月20日(月)
お願い:ご参加くださった皆様には「重信川河口鳥類調査報告書」をお渡しいたしますが、すでにお持ちの方はご持参ください。
発表題目(予定):
・重信川河口鳥類調査報告書について
・重信川河口におけるシロチドリの繁殖状況
・松山衛生ecoセンターにおけるコアジサシ繁殖保護の取り組み
・高茂岬・由良半島のタカの渡り
日本野鳥の会愛媛では、現在「愛媛県鳥類目録」を鋭意作成中です。1954年から2022年10月現在までで、352種(参考記録種・外来種を除く)が記録されています。文献調査や会員から送られてくる野鳥情報により観察記録を整理していますが、どうしても拾えてない記録がまだあるはずです。
これまでにまとめたデータを以下に公開します(このリストは編集中の非公式なものです。無断引用・転載はご遠慮ください。画像データで表示しています。エクセルデータが必要な場合は、事務局まで個別に直接ご連絡ください)。
会員・非会員は問いません。もし、このリストにない種の記録、記録のない月・市町での観察記録をお持ちの方がいたら「記録を送る」から是非とも情報を送って下さい。ご協力よろしくお願いいたします。
種名一覧(画像をクリックすると拡大表示されます)。
記録月・市町一覧(画像をクリックすると拡大表示されます)。
種名・順番等は必ずしも上記リストと対応していません(スペースの関係で種名は途中までしか表示されていないものもあります)。記録月(1~12)の色が薄いセルは記録の少ない月、濃いセルは記録の多い月を示しています。市町名は最初の二文字のみ表示しています。緑のセルが記録のある市町、白いセルが記録のない市町です。
(ツバメ 撮影:末岡高則)
日本では古くから「ツバメが巣を作ると縁起が良い」と言われ、商売繁盛のシンボルや害虫を食べる益鳥としてツバメを守ってきました。しかし近年では餌や巣材の提供場所となる田んぼの減少により生息数が減少している上に、糞害などを理由に巣を落とされたりすることも多くなっています。日本野鳥の会では「消えゆくツバメをまもろう」というプロジェクトをおこなっており、その一環としてツバメを見守っている団体や企業に感謝状を贈呈する活動を、2019年から開始しています。
当会もその活動に参加しており、先日は当会代表が大洲市の河辺小学校と肱川小学校を訪問し、表彰状の贈呈とツバメや学校で子育てしているツバメについてのお話をおこないました。児童からは「感謝状をもらって嬉しかった」「これからもツバメを見守りたい」「野鳥への関心が高まった。どんな野鳥がいるかもっと調べてみたい」などの感想をもらいました(河辺小学校日記での紹介記事)。これをきっかけに、子供たちに鳥や自然に興味関心を持ってもらえれば幸いです。
昨年度はコロナの影響で対面の贈呈式はおこなえませんでしたが、全国ニュースでも話題になったローソン道後ハイカラ通店や、有限会社空港タクシー、有限会社森松交通に財団本部から感謝状を郵送しました。
皆さんも、県内でツバメの巣を見守っている企業や団体をご存じでしたら、当会へ情報提供をお願いします。
2022年1・2月号(No.266)より会報『コマドリ』のPDF配信を開始しました。
最初の支部報が発行されたのは1976年3月(コマドリ1号は1983年10月)。初期は手書きやワープロ(1985年2月から)で、カットやページ番号などはハサミやノリを使って切り貼りして、会報は文字通り「手作り」していました。
その後パソコンに移行してからも、コマドリはモノクロ印刷のため、写真等はカラーで見ることができませんでした。しかし、最近になって編集方法を変更し、原稿をそのままPDF化できるようになったため、PDF配信を開始することとなりました。
PDFなら、写真がカラーで見られるだけでなく、経費や資源の節約にもなります(会費のほとんどは印刷費や郵送費です)。植林木1本から作られる紙はA4のコピー用紙約13000枚分と言われています。会報は毎号大体24ページ(A4換算12ページ)。年6回発行で会員数300名とすると、21600ページとなり、年約2本分の木を切らなくて済むことになります(輸送にかかるコストなどを考えると、それ以上)。
PDF配信を希望される方は、トップページのアンケートフォームからお送りください。
他支部ではどのくらいPDF配信しているのだろうと気になってざっと調べてみたところ、オホーツク・札幌・郡山・いわき・埼玉・神奈川・新潟・福井・沼津・遠江・三重・京都・筑豊・長崎などがPDF配信や過去号閲覧をおこなっているようです(抜けがあったらお知らせください)。政府もデジタル化を進めていますし、つい最近ドバイ政府が完全ペーパーレス化を達成してニュースにもなりました。今後こうした流れは益々増えていくことでしょう。
ヒバリ 2005.6.10 新居浜市多喜浜 撮影:林利夫
これまで13万件近くのデータがある当会の野鳥データベース記録ですが、どうしても地域に偏りがあり、普通種であっても全域で記録されていないものもあります。
例として、記録件数が多く(ほぼ)県内全域に生息していると思われるが、記録された市町に抜けがある(あと数か所で全域が埋まる)ものを下図に示しました(クリックすると拡大表示されます)。黒は観察された月、緑は観察された市町、セルの数字は報告件数です。
久万高原町、松野町、鬼北町で抜けが多いことが分かります。これらの地域は会員が少なく、アクセスがしにくいこと、水辺の環境が少ないことが要因でしょう。しかし、この場所で見たことある(でも野鳥情報は送っていない)という方もいらっしゃるはずです。このリストからさらに簡単に見つけられそうな種類を抜き出すと、以下になるでしょうか。
松前町 ヤマガラ・シジュウカラ・エナガ
砥部町 ダイサギ・トビ・ヒバリ・ハクセキレイ
東温市 コサギ
久万高原町 ムクドリ・ハクセキレイ
上島町 ヒバリ
八幡浜市 ヒバリ・セッカ
鬼北町 スズメ・ハクセキレイ
これらを見かけたら、是非「記録を送る」から過去の記録を含めて野鳥情報を送ってください。会員外の方からの情報も大歓迎です。
今後、注目種として情報の少ない種や抜けがある種について、目録を充実させるためデータ補完を強化していきたいと思いますので、皆さんのご協力よろしくお願い致します。
松山市では、市民の皆さんが環境について気軽に学べる機会を提供するため、2018年から「ミニ環境フォーラム」を開催しています。今回のテーマは「絶滅危惧種・生物多様性」です。日本野鳥の会愛媛が協力し、パネル展示のほか、当会が伊予銀行環境基金エバーグリーンの助成を受けて取り組んでいる「「まつやまコアジサシ子育て応援プロジェクト」」について当会代表が講演し、模型の色付け体験を行います。
日時:2021年2月27日(土)・28日(日)
会場:松山市総合公園管理棟1階(朝日ヶ丘一丁目)
日時や申し込み締切等の詳細は、上部パンフレットもしくは下記の松山市役所の案内ページをご覧ください。
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/event/kankyo/yacho.html
探鳥会リーダーは、探鳥会がなくなったり、雨の日で人が集まらなそうな日でも、定期的なデータ収集や下見のため、探鳥コースを回っています。
1月の城山探鳥会が中止となった代わりに、お堀を歩いていると意外な鳥がいたという情報が。
これは、珍しい冬鳥のニシオジロビタキ?!でも、よく見てみると・・・
なんとコサメビタキでした。普通は夏鳥として渡来するのですが、ごく稀に、このように越冬する個体も記録されます。
さらに、モズがいたと思ってよくよく見ると・・・
アカモズの亜種シマアカモズでした。沖縄など南西諸島ではよく見られますが、愛媛での記録はあまり多くありません。身近なところに意外な出会いがあるものですね。残念ながら1・2月の探鳥会は中止となってしまいましたが、3密を避けられるバードウォッチングは、こんな時の気分転換には最適です。是非皆さんも外に出かけて、鳥たちを探してみてください。
観察・撮影するときはマナーを忘れずに!そして見つけたら、是非「記録を送る」から情報提供をお願いします。
(撮影:小川次郎)
謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中は、当会の運営にご協力とご理解をいただき、厚くお礼を申し上げます。
今年、コアジサシの保全事業が正式に始まります。これまで、施設との打合せや伊予銀行環境基金『エバーグリーン』助成金の申請などを行ってきました。助成金は「まつやまコアジサシ子育て応援プロジェクト」として採択されました。デコイ(実物大模型)の色塗りなど、みなさんに手伝っていただこうと計画しておりましたが、新型コロナウイルス感染症のこともあり、小規模で行わざるをえなくなっています。しかし、着実に進めたいと思っております。
また、みなさんとお会いできる探鳥会も厳しい状況となっておりますが、野外で野鳥を少人数で観察することは、三つの密には当たらないと考えます。そこで、感染防止対策をしつつ、探鳥を楽しんでいただけたらと思います。その情報は、充実してきた当会Webページの「記録を送る」より、ぜひ送っていただけたらと思います。
本年も役員一同、頑張ってまいりますのでご協力のほど、お願いいたします。
2021年 元旦
日本野鳥の会愛媛役員
松田久司(代表・保全全般担当)
小川次郎(副代表・探鳥会担当)
秋山 勉(事務局長・会報担当)
新名 亨(会計)
山本貴仁(幹事・調査研究担当)
井戸浩之(幹事・密猟対策担当)
上沖正欣(幹事・ホームページ担当)
脇 啓人(幹事・保全担当)
(マナヅル 撮影:齋藤勲)
令和2年度愛媛県指定管理鳥獣捕獲等事業の実施に伴うニホンジカおよびイノシシの集中捕獲事業(R2年12月中旬~R3年2/8)に関わる入山の注意について、愛媛県県民環境部環境局よりお知らせがありました。
実施地域:東予東部地域(新居浜市)、東予西部、石鎚山系地域(西条市)、南予南部地域(宇和島市、鬼北町、松野町)
山林へ野鳥観察に行かれる際には、明るい服装を着用し、藪の中に入らないようにする等、十分ご注意下さい。
連絡先:
愛媛県県民環境部環境局自然保護課生物多様性係
TEL: 089-921-2368
(ジョウビタキ 撮影:徳久たよ子)
野鳥情報は、1974年の当会発足以降、126,000件超がデータベースに蓄積されており、毎月約300-500件の記録が追加されています。現在、これらの記録をもとに愛媛県鳥類目録の作成を進めています。しかし、まだまだ県内の分布状況を網羅的に把握しているとは言えず、しかも野鳥情報の投稿数は毎年減少傾向にあります。
現在約320名の会員数に対して、毎月野鳥情報を送っていただいているのは僅か10名程度。また、会員の約半数が松山市在住なので、どうしても観察地域に偏りが生じてしまいます(上図。2010-2020年の野鳥情報記録地点の分布)。さらに、夜間の観察が少ないことや、報告されやすい・されにくい種がいるために、東南予・沿岸・山間部、普通種・夜行性鳥類・海鳥の情報が不足しています。種名・地名間違いによるデータ漏れも少なからずあります。
そこで、少しでも入力ミスをなくし、多くの方から野鳥情報を投稿してもらえるよう、従来の入力フォームを改善・バージョンアップしました。新しいエクセルファイルはこちら(野鳥情報エクセル記入フォーム2021年版)。既に旧バージョンを利用している方も、2021年以降は新しいバージョンのご利用をお願いします。
また、頻繁に野鳥情報を提供してくださっている方は、毎月メールを送るのが面倒だと感じたことがありませんか?そうした手間を省いてもらうため、Googleスプレッドシート(エクセルと同じような感覚で使えるオンライン表計算サービス)を利用した情報共有も開始します。ご希望の会員の方は、調査担当とやりとりできる非公開の個人専用ページを作成いたしますので、事務局までメールでご連絡ください。
ただ単に「見た」という事実だけでは、極端な話、そこに鳥が存在しなかったのと同じになってしまいます。確実に「記録」し、そして「共有」することで、初めて意味のあるデータとして、その地域の生物多様性を示す証拠となり、将来の野鳥保全に役立てることができるのです。先述の当会ウェブサイト「記録を送る」からも会員・非会員問わず野鳥情報を集めていますので、興味がありそうな友人知人の方がいれば、お知らせください。今後より多くの野鳥情報を収集できるよう、会員の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
(調査研究担当・ホームページ担当)